母の着物をほどいている。
着付けも出来ないし、洋服にリメイクできたらと。
和裁はやったことがない。中学のころ、一つ上の先輩までは、家庭科で浴衣を縫っていた。でも、私たちは、たしかパジャマだったと思う。浴衣くらい、縫えるようになっておきたかったな。
着物って、すべて手縫いなんだと改めて思った。ほどきながら、なんて丁寧な仕上がり。
ロックミシンなんかかけずに、裏地ですべて包み込む。当たり前だろうけど、すごい。
袖の丸みの部分もほどけば、四角い布。昔、母が洗い張りをしていたことを、かすかに覚えている。
母は『たとう紙』の隅に「留め袖」とか、「小紋」「白紬」とか書いてくれていた。
母の着物と私の着物。日本の文化をなおざりにしていいものか・・・
こぐま社「わたしのワンピース」より