母がベッドから手を出したので、その手を握ると「あぁ、冷たい」と母。
冷たいのは私の手。「ごめん、冷たくて」
むくみでぷっくりしている母の手が、冷たい私の手を温めてくれる。
子どものときも、母はよく手を温めてくれた。
この年になっても、娘は娘なのでしょう・・・
看護師さんの許可を得て、母はアイスクリームを口にすることができた。
初めは声にならなかったが、ゆっくり茶さじ3,4杯ほど食べると、声にだして「あ~おいしい」。
危険防止のため、窓は15センチほどしか開かない。明るくて暖かい部屋だけど、季節感を感じることができないのが残念だ。
『早春賦』が好きな母。歌ってあげたいけれど。
「お母さん、もうすぐ、もうすぐ春ですよ。」
理論社「ファーディのはる」より