「第2音楽室」は本のタイトルだ。
高校の時、古い校舎に取り残されたように、第2音楽室があった。芸術は音楽が履修できずに、美術だったから、第1も 第2も音楽室で授業を受けたことはない。所属した、吹奏楽部の部室は運動場の端っこで、体育倉庫みたいだった。気をつけておかないと、サッカーボールが飛んで来ることがあった。部員は20人ぐらいの弱小チームで、顧問の先生は「この部屋にいると頭が痛くなる」という数学の先生だった。音楽の先生は合唱部に力をいれてあって、吹奏楽部はノータッチ。学生指揮で和気相合。部長はトランペットだったが、サッカーの試合にも声がかかる二刀流。へたくそなバンドだったと思うけど、アンサンブルが楽しかった。
フルートの席の目の前の壁に 「この道より我を生かす道なし この道を歩く」 という実篤の有名な言葉が飾ってあった。観光地のお土産屋さんにあるような 壁掛けだったけど、「これかもしれない」と思い込んでしまった。 懐かしい、胸がチクチクする思い出だ。この本は、リコーダーの4重奏や軽音楽部の話など、アンサンブルにまつわるストーリーだ。始めはゆるいつながりのグループだったが、読み終えて、思わず拍手をしてしまった。ちゃんとチューニングをして、アンサンブルしたくなったよ。
作・絵:佐藤 多佳子 「第二音楽室」より