ワタシもおばあちゃんだけど、わたしのことではない、わたしのおばあちゃん、つまり、50年くらい前に旅だった人である。
思い出すのは、ワタシが小学校に行くときに、ずっと見送ってくれたこと。いつまでもいつまでも。振り返ると、まだ立っている。
寝るときはいつもワタシと一緒で、一つの布団で寝ていたから、いま思えば、きっと、おばあちゃんの背中は布団が無かっただろう。でも一緒がいいと。おばあちゃんが。
おばあちゃんの焼きうどんがおいしかった。
それから、或る日、ワタシは高校生になって、おばあちゃんの療養所にお見舞いに行った。
隣のベッドが空いていたので、一晩泊まることになった。(なんかゆるかったんだね当時は)
たくさん、おばあちゃんとおしゃべりして、眠った。
そして、ふと気がつくと、なんと、おばあちゃんがワタシの布団をかけ直してくれていた。おおなんてこった!!ワタシが介護しに言ったのに。ああ~それにしても、愛情深いひとだった。
おくはらゆめ「シルクハットぞくは よなかの いちじに やっってくる」より