小学校の校長先生が「私が尊敬する人は・・・」と全校集会の壇上で話をはじめられた。
「それは小使いの○○さんです。」校長先生の尊敬している人の名前が思いがけなくて、強く印象に残っている。今では用務員の先生と呼ぶのかな。その人は学校の給食室の近くに奥さんと住んでいた。(昭和30年代の話)子ども好きという感じでもなく、話しかけたりできなかった。顔に炭鉱で勤めていたころの傷があり、入れ墨をしているような強面だった。校長先生は人が気づかないところで、もくもくと働いておられることを称賛されたように思う。運動場での集会で、ちゃんと話を聞いているワタシ。真面目な小学生だったなぁ。
校長先生は静かな柔らかい話し方だった。人に言葉を伝えるとき、大きな声は必要なくて、体感した真実を自分の言葉で話すことだと、今なら思える。
強面の用務員のおじさん(先生)に話しかける勇気があれば。チャーミングな笑顔を見られたかもしれない・・・

作・絵:川之上 英子 川之上 健 「おおやまさん」より
