お店に入ってきたときから微笑んでいた。
「○○○先生! ゆうこです。」
旧姓の名前で呼ばれて
「ぎゃあーーー」びっくり仰天とはこのことか。
まあまあまあ・・・・
小さな離島の小中学校に新採として赴任したころの生徒だった。
意外にも現在は近くに住んでいて、さらにびっくり。
島は同じ名字が多いので、生徒も島の人も下の名前で呼ぶ。○○くんや○○さんは?と近況を聞きながら、なつかしさでいっぱい。思い出が次々にあふれてきて、僻地の学校での日々は、ほんとうに豊かで濃い時間だった。
漁船(当時)で2時間半揺られて、荷物と一緒に島に渡り、赤い屋根の木造の新校舎に着くと、職員室の机の上に「校歌」の楽譜。
あー、明日の始業式で弾くんだ。やばいやばい。
宿舎に古いオルガンがあったので、それで練習をして、ハラハラしながら、当日の「校歌斉唱」。
小中併せて、20人あまりの生徒たちの声が、なんと高らかですてきだったことか!
ゆうこさんに耳元で「ところでいくつになったの?」
「あーそうだよね。11こぐらいしか年は離れてなかったんだよね。」あの頃は若かった。
偕成社「かぜは どこへいくの」