両親を事故で亡くした9歳の少年は、祖父に引き取られ、育てられる。
二人で暮らした日々の中で、あの夏の日の思い出は鮮烈だった。
それは散弾銃でナゲキバトを撃った日のこと。ハトはひな鳥を育てている母親鳥だった。
得意顔のつもりで祖父を見ると、「父親鳥は2匹のひな鳥を育てられない。一羽を生かすためには、一羽を殺すしかない。」 と少年に伝える。 祖父は 厳しく時には優しく、「生きる」と言うことを教えた。
そして、或る日、思い出の品から、父と母がどんなに自分を深く愛してくれていたかを、想像することができる。
また、信仰心の深い祖父は ある男の話をしてくれた。二人の息子の良い心を持っている兄と悪い心を持っている弟の話だった。
折しもクリスマスイブにその結末を聴くことになる。
最後の最後まで、祖父の秘めたる過去は分かりませんが、老人には積み重ねた年月分の深みがあり、慈愛に満ちた祖父の言葉は重い。
作:ラリー・バークダル 訳:片岡しのぶ 「ナゲキバト」より